過ぎた日に乾杯
おわってしまいました、わたしの2019レミゼmy千穐楽が…。
8月19日、あの日以来こころにぽっかり穴があいたみたいです。
けどね、それは決して空虚な感じではなく、時が経つにつれてなにかあたたかいもので満たされていくような感じ。
正直札幌も行きたかったんです。
いちおう観劇予定を組んだ時は納得してたんですよ。
9月は忙しいし、札幌はさすがにポーンと行ける距離じゃないし、飛行機苦手だし。
でも通っているうちに、ああ大千穐楽まで見届けたかったなって思い始めたんです。
理生さんの初日に帝劇まで見に行って、御園座も行って、梅芸も当然通って、博多座も行くのに、
なんでhitaruのチケットは取らなかったんだろうって悔やんでました。
おけぴでもお譲りが出ないかしつこいくらい覗いてました。
でもmy千穐楽を見て札幌公演への執着はすぱっと断ち切れました。
本当に素晴らしくて最高に良すぎたのに、それを言葉で表す語彙を持ち合わせてなくて悶々としてます。
初見ってのは言い過ぎだけど、でも2回目くらいの新鮮な気持ちで観れた、そんな感じ。
何度も観てると観方って固定されてきちゃうじゃないですか。
始めのころのピュアな感じに戻りたい…!そう何度思ったことか。
でも今回はそのピュアさをちょっと取り戻せた気がします。
my千穐楽と考えると寂しくもなるけど、それ以上に充足感に満ちてて、本当に悔いなく気持ちよく終われました。
そのくらい素晴らしかったんですよ!
というわけで、8月19日ソワレの感想を振り返りつつ、2019年レ・ミゼラブルの私なりの総括を書いていこうと思います。
[開演前]
博多座のロビーのこの雰囲気好き。商魂たくましくて。
帰りに駅で買おうかと思ってた通りもん、ここで買っちゃったよ。
「博多座2019 ミュージカル レ・ミゼラブル ご観劇記念」の帯付き。
そういえば去年の1789観に来たときはお茶を買ったなぁ。
売り子のおばちゃんに試飲を勧められてまんまとお買い上げに至ってしまった。懐かしい。
今日の席は前から2列目、サブセンのセンター寄り端っこ。
舞台中央が遮るものなくノンストレスで見れる。神席ってやつでは。
さ~もうすぐ開演だ。
わたしの今年最後の理生ジャベ、しっかり目に焼き付けるぞ。
[幕間]
福井バル×理生ジャベさいっっっこうだ!!!
新宿講座で村上さんが「構成のきっかりした」って表現してた気がするけどよくわかる!
舞台全体にぴしっと一本品格が通ってるんだね!
理生さん顔怖いのはもちろんなんだけど体全体から迸る信念とかエネルギーとかを感じる。
確実に深まってる。
もっとちゃんと振り返りたい。でもまだうまく表現できない。もどかしい。
そして福井さんのバルジャンが本当に凄まじく良い。
独白ですでに泣きそうになった。こんなの初めてだ。
宿屋に入れなくて袋叩きになったあと、「憧れていたこいつが自由というものか~♪」って歌うじゃん。
あそこの前で仰向けになったまま「ハハハッ」ってやさぐれたように乾いた声で笑ったんだよね。
その瞬間にバルジャンの絶望とか怒りとか期待が裏切りに変わった辛さとかがぶわって迫ってきて、なんかもう辛すぎた。
え、バルジャンなんか悪いことした?みんな黄色い紙しか見てないのでは?そんな悪い人じゃないじゃん??
そこらへんからもういつもみたいな観方ができなくなっていった。いい意味で。
誰が演じてるとかこの後こういうシーンだとかあそこの演じ方どうするんだろうみたいな感じじゃなくて、
このバルジャンがこれからどうなっていってしまうのか、はらはらどきどきみたいな感じで。
もちろん頭の片隅では誰がどう演じてるかちゃんとチェックしてるんだけど、それ以上に物語の世界に入り込んでいたんだ。
いやぁびっくり。だってわたしこれ何回目のレミゼだと思ってるんだ。
いまさらこんなにぴゅあっぴゅあな気持ちになれるなんて。
それを引き出したのは間違いなく福井バルジャンなんだと思う。
今期福井バルジャン観るのこれが2回目なんだけど、前回はそうは思わなかったんだよね。
ちょうど1か月前に観た、2017年レミゼでも一番好きだった福井バル×川口ジャベの組み合わせ。
はずれのない組み合わせじゃん。うまいに決まってるし、すごいに決まってる。
なのにあの日はそう感じなかった。あれはなんでだ。
福井さん、あの日のどの調子が悪かったんだろうか。
それとも梅芸と博多座の圧倒的な音響の差だろうか。
うーんわからん。
でも今日の福井バルジャンはやばいぞ。
理生さんと福井さんの組み合わせがまた最高に最強なんだね。
帝劇はそう何度も行けないし、名古屋か大阪で観ればいいかと思ってたのに、存在しなかった組み合わせ。
ようやく観られた。
福井さんの上手さと、理生さんの上手さと、相乗効果で「は~~~~~~~(ため息)」としか言いようのないこの感じ。
なんて幸せなんだ。
この良さを言葉にしたいのに、圧倒的に語彙が足りなさ過ぎて、どの表現もするする上滑りしていっちゃうな。
でもとにかく幸せにもほどがある。
だめだ時間が足りない…!
続きは終演後。
開演前にロビーで買ったお弁当おいしかった!!
[終演後、帰路にて]
は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とにかくよかった!さいこうすぎた!!
わがレミゼ観劇人生に一片の悔いなし!!!って感じ!
もう今日死んでもいい!嫌だけど!!!
おちつけわたしおちつくんだ。
このままだとただのあほみたいだぞ。
でもまじめに感想をふりかえろうとしてるのにただただ「よかった~」しかでてこない。
あまりによすぎて言葉にならない。どんな言葉を並べ立てても伝わらない。
松島やああ松島や松島や。
そんなかんじ。
わかってくれ。
[夜、ホテルにて]
着替えてベッドの上でだらだらテレビ見てたらようやく落ち着いてきたぞ。ふぅ。
こっから改めて思い出す限りざっくり雑に振り返っていきます。
ごちゃごちゃ前後するだろうけど。
福井バルジャンと理生ジャベール、パワーバランスがちょうど良いって感じたなぁ。
基本的に、バルジャンは力持ちだしジャベールはいつもドジなんだけど、そのさじ加減って組み合わせによって違うじゃん。
理生さんを基準にすると、対光夫バルだと弱そうでドジっ子感ましましだし(というか光夫さんがつよい)、
対シュガバルだと逆にシュガーさんが優しすぎちゃう気がするんだけど、福井バルだとそこのとこが絶妙で。
それを一番感じたのが対決のところかな。
どちらも何を言ってるかはっきりくっきりで。
あそこの2人の歌詞をどっちも聴くのって結構大変じゃない?
音の高さ的な問題でぽーんと耳に飛び込んでくる方に引き寄せられてしまう。
なのに福井さんと理生さんだと本当に全部がクリアに聞こえたんだよね。
どちらも発声がしっかりしてて、まさに正統派で。
新宿講座でオペラみたいな品格が漂うっておっしゃってたけどほんとそんな感じ。
終始、2人の歌声がぐっと舞台をまとめ上げて、ぴしっときっかり品が漂ってる気がした。
バルジャベでいうと、前後しちゃうけどバルジャンが荷馬車を持ち上げた後のシーンがとても好き。
とりあえず理生さんの「不思議だ、信じられない」がツボなんです。つたわれ。
あのあと理生さんってごりっごりの目で疑いながらバルジャンをカツアゲしてくじゃん(違う)。
あそこで、バルジャンが上着を要求した時に手をあげて制止して、その後上着を着せてあげるのって理生さんだけなんだね。
(梅芸で川口ジャベと伊礼ジャベも観たけど、2人ともすっと上着を渡してあげてバルジャンが自分で着てた。)
上着を着せてあげるってことはバルジャンがジャベールに対してくるっと後ろ向きになるってことで。
あそこの、ジャベールには見えないその刹那にバルジャンがどんな表情をするのか、そこの部分を毎回楽しく見てます。
福井さんはそこであまり動揺していない感じだった。
ジャベールが「失礼します」って去って行った後も、わりと冷静に振り返っていて。
シュガーさんは肩で息して「ハァッハァッ」ってなった後に「あいつはすべて信じている」につなげていくから、
あージャベールに睨まれて緊張したんだね動揺したんだね良く隠し通したねって気分になるけど、
福井さんはその点でもものすごく対等な感じがした。
うん、ジャベールの圧に屈しないしむしろ圧をかけてもいるんだけど、対等。
なんていうんだろう、もちろん経験的には圧倒的に福井さんが勝ってるんだけど、あくまでも対理生ジャベで
バルジャンとジャベールとして見たときの「光と闇」の表裏一体感が一番しっくり来たっていう感じかな。
福井バルジャンは、もともとまじめで優しさと厳格さを兼ね備えた人だったのに長い牢獄生活でやさぐれて
荒っぽくなっちゃったって感じで、理生ジャベールは、もともとまじめで厳格だったうえで生まれを呪い環境を呪い
這い上がろうともがくうちに狂気的かつ猟奇的になっちゃった感じと言えばいいのだろうか。
うーん難しい。
でもとにかく芯の部分に共通点がある気がした。似ているとか同じ香りがするとかとはちょっと違うんだけど。
環境が違えば、出会う人が違えば、ジャベールもバルジャンのように生まれ変われたかもしれないのにな。
その「光と闇」感が浮き彫りになる感じの組み合わせだった。
ちなみになんで福井バルジャンに厳格さを感じたかというと、プリュメ街でのコゼットとの接し方かな。
もちろん可愛くて大事な娘なんだけど、コゼットの追及を制する時の表情や言い方がぴしっと厳しいお父さんという感じで。
お箸の持ち方とか挨拶とお礼の仕方とかなぁなぁにせずきっちり教えてそうな感じがした。
あくまでイメージです。コゼットはお箸使わない。
福井さんはそういうちょっとしたとこの演技のつけ方が繊細で緻密で品がある感じがしたんだよね。
例えば宿屋にコゼットを引き取りに来るところ、マダムが香水をふりかけて誘惑しようとしてる時にその香水にむせてたり、
あとのシーンになるけど下水道でマリウスを担いでからお尻あたりを励ますかのようにポンポンってしたり、
そういうちょっとした所作がものすごく自然ででも印象的な感じで。予定調和ではないし演技という感じがしない。
バルジャンを長くやってきた中で着実に積み重ねてきたものがあって、舞台上で自然体で生きている気がした。
あとこれも書いとかなきゃ。
待望の桑原愛佳ちゃんめっちゃくちゃうまくてあんぐり。
各所で愛佳ちゃんのリトルコゼットが素晴らしいと絶賛の言葉を目にしてきたんだけどほんと良かった。
歌声はもちろん、表情がすごくよい。
ほうきで掃いてきて、すっと上を見上げて、まるでお城が見えてるかのように「にこっ」って笑うの。
ああなんて可愛いんだ。
マダムに本気でおびえてて、バルジャンが引き取りに来るとこでも後ろで細かく演技つけてて、
そのひとつひとつがコゼットそのものな感じ。子役ではなくすでに一人前の女優みたいだと思った。
今日の理生さんのスターズはかっこよすぎて震えたな。
きっかりしっかり布教されました、うん。
何度も、それこそレミゼ以外の場所でも聴いてきたけど、公演後半ということもあってか今まで以上に深みと凄みを感じた。
重厚感のある、がっしりと骨太かつ強い信念を感じるスターズ。
理生さんが「教会で信者に説法をして布教する感じ」って言ってるのを何回か聞いてるからかもだけど、
でも聞いてなくてもそういう風な圧倒的な正しさとまっすぐかつ狂信的な信念を感じ取ることができたと思う。
それでいて、観客に語り掛けるような、客席と対話してるかのような空気感も感じられて。
そこの深化の仕方が良かった。
もともと理生さんファンだから贔屓目もあるかなと思ってたけど、それ抜きにしても理生ジャベのスターズは圧巻だった。
また所作がいちいち美しいんだよね。
圧倒的声量そして凄まじい目力と共に警棒を掲げながら「このー星にー誓う俺はーーーーー♪」って歌い上げた後、
警棒をしゅるっと脇に持ってすっと帽子をかぶって悠然と立ち去っていく、あの一連の流れが本当に好きだ。
そして海宝さんのマリウスも好きすぎる。何度か言ってる気がするけど。
今年で最後みたいなのをちらほら見かけるけど寂しいにもほどがあるな。
天然なぽやみがよいですよね、うん。それに歌がものすごくうまい。
ベガーズでマリウスとアンジョルラスが後ろから出てきて、「誰が導くか 誰がこの国を~♪」
「それは将軍ラマルク 彼こそ味方だ~♪」って歌うとこ、毎回心の中でキタ――――って叫んでる。
ああできるものなら理生さんとの組み合わせでもっかい観たかったな。
あとあそこの海宝マリウスも好き。
レッド&ブラックでアンジョルラスが「ブラーックよるーのおーわり~♪」って歌ってる最中、ちょっともぞもぞするんだけど
同じテーブルにいるジョリ(だよね?)に励まされて、えいって決心した顔になってアンジョに口ごたえするみたいな感じで
「君が今夜居合わせたら~♪」って歌い始めるとこ、ほんと微笑ましかったな。
プリュメ街でも、今日は塀を乗り越えたあとコゼットが下に降りてきてから慌てたみたいに膝の汚れをぽんぽんはたいてて。
身だしなみチェックしたりは観たことあるけど膝をはたくのは初めて観たなぁ微笑ましいなぁという気分に。
そしてコゼットの手を握る前にズボンでぺしぺしと手汗を拭ってたのも初めて観たぞ。
ひとつひとつの所作にお坊ちゃんみとぽやみがありつつ品格が漂ってるとこが好きだ。
そしてなによりあの歌声ですよ。
ハイトーンのa母音の発音の仕方がとても好きだという結論に到達。
プリュメ街といえばあそこのコゼットのキラキラっぷり観てると「若いっていいなー」って毎回思う。
いろはコゼットだと余計にそんな感じ。まぶしすぎて失明しそう。
「彼は知っているのかしら~♪」でくるっと回る時に、今日は漫画みたいに髪の毛が綺麗にしゅるっと翻ってて可愛かった。
で、コゼットがきらきらしててマリウスがぽやぽやしてればしてるほど、エポニーヌのつらさが増すんだよね。
今日は帝劇初日ぶり、実に4か月ぶりの昆ちゃんだったんだけど、やっぱり昆ちゃんエポはさすがだなぁと思った。
ものすごく度胸があって一人で生きていけそうに強いんだけど、でもマリウスの前だと途端に乙女になって、
その中にちょっと意地を張ってたり強がってる部分があるのが、いじらしくて切なくて。ぐさぐさ刺さる。
ちなみに海宝さん×昆ちゃんだと、エポが読んでる本を取り上げたマリウスが逆さまだなってくるっと元に戻すとこが好き。
今日のプリュメ街、エポニーヌ目線で観ると本当にえぐられたな。
「突き刺さる彼の言葉が~♪」の吐き捨てるような口調と「彼が求めたら捧げてしまう~♪」の切なさの対比が辛すぎた。
あとマリウスとコゼットが近寄って手を取るとこ、他のエポニーヌは見たくないのに目が離せないみたいな感じの
目つきでじっと見てるけど、昆ちゃんエポは2人が近寄った瞬間にもう見たくないって感じで顔がぐしゃっと歪んで
がしゃんって門叩いてたのが泣けた。
なにそれしんどい。
昆ちゃんエポ、2幕でマリウスから手紙を託されるところも他の子たちと違ってたな。
他のエポニーヌは「わかってくれない~♪」のあと手紙をぐっと握りしめながらぶんぶん振ってて怒りを感じるけど、
昆ちゃんは手紙を握ってからふっと一瞬陰りのある表情をしてて、哀愁とか切なさが伝わってくる感じ。
そしてオンマイオウンも素晴らしかったなぁ。
「またあたしひとり」が囁く感じでぼそっと始まって、そのあと夢見てるような笑顔で歌うんだけど、
「知ってる 夢見るだけ~♪」でもまだ笑顔なのが逆に辛い。ちょっと無理してる感じの笑顔。
エポニーヌの背負ってる孤独が、闇が見えた気がした。
10代にしてあれほどの孤独を背負わざるを得ない少女の辛さを感じた。
こんなのはじめて。
そして恵みの雨がほんっとうに幸せそうでつらすぎない???
はじめて人のぬくもりを感じて安らぎを得られたみたいな感じの穏やかさで。
マリウスにあと少しでキスできそうで、本当にあと少しで、そこでふっと息絶えて、なんかもうあああって感じだった。
つらいしんどい。
つらいといえばバリケード陥落も辛すぎたな。
あそこのシーン、毎回悲劇を芸術に昇華することの意味みたいなのを感じるんだけど、今日もそれを感じた。
まず相葉アンジョが美しすぎるんだよね。
「立つのだ仲間よ 世界に自由を」のところののびやかな高音、回を重ねるごとに透明感を増してる気がする。
花のように美しく咲き、そして儚く散っていくアンジョルラス。
2017年の時よりもぐっとリーダーみが増してて、散り際の潔さがまぶしくて、ただただしんどい。
そして学生たちが撃たれていくところ、つらすぎるのに目が引きつけられてそらすことができない。
照明がぱっと当たって、皆が次々に撃たれて、銃撃の反動で体が揺れてるのが収まって、静寂が訪れるあのシーン。
絵面として最強に美しくて、だからこそその悲惨さが胸にしみて、毎回ナイフで胸を切り刻まれてるかのような気分になる。
うっ。思い返してもしんどすぎる。
レ・ミゼラブルのレ・ミゼラブル感がぎゅっと凝縮されてて、一番しんどくて一番好きな演出かもしれない。ううう。
前後するけどジャベールが砦から逃がされるところ、今日の席は理生さんの表情が本当に良く見えた。
ぴきっとヒビが入って崩壊への序奏が始まる、その瞬間が。
バルジャンに突き飛ばされて、ぐわっと目を見開いてバルジャンの目を凝視して、そこで視線が交わった時に
ヒビの入る音が聞こえたような気がしたんだ。
うわきっつ…これはきついわ…。
福井バルジャンのあのまっすぐな正しさが結果的にジャベールを追い詰めてしまったんだな。
バルジャンが正しいってわかってはいるんだけど、でもそれを到底受けいれられなくて、その葛藤ともがきが伝わった。
バリケードから去る直前の背中の演技、あそこもより深みを増してて。
その後、死んでるガブローシュを発見して、うおおおおおおって咆哮して、下水道への血痕を発見してからの
下水道出口と自殺の流れ、あれは…なんかもう…。
精神が崩壊してしまって、それでもなおジャベールなりの正しさを貫こうとする感じ、その積み重ねてきた「正義」を
ひしひしと感じて、止められるものなら止めたいのに誰も彼を止められないし救えない、そんな感じの辛さ。
とにかく凄みを増してた。
自殺のシーンを観るたびに、何かの間違いで救出されて生き延びてほしいなとか現実逃避するんだけど、
きっと彼自身が一番それを望んでいなくて、助かった先にあるのはただの生き地獄なんだろうなという気がする。
ジャベールにとって自殺は救済で、でもそれでしか自分を保てないって…。だめだしんどい。
そういうね、救いようのない悲惨さを感じた。
今までで一番、ジャベもエピローグで主の国にいてほしいな、せめてカテコで理生さんが笑っててほしいなって思った。
あとはあれだね、Turningとカフェソングもとてもつらい。
Turning、「武器さえ使えない 学生死んでも誰が泣く」を歌ってる女性(今日は私の好きなアンサンブルの島田さん)が、
誰よりも先にウッて泣き崩れるとこでいつも胸が揺さぶられる。はーしんどい。
一番泣いてるのはあなたじゃないですか。
からのカフェソング。海宝マリウスの一番好きなところです。
あそこの表現で物語全体のマリウスの立ち位置が決まる気がするというか。
なぜレ・ミゼラブルという悲惨な物語の中でマリウスだけが生き残りコゼットと幸せになるのか、その説得力というか、
下手したら場違いになりそうなその存在の意味が決まる感じがするんだけど、その点で海宝マリウスの信頼感はやばい。
出だしの「言葉にならない」のあまりにも所在の無いぽつっと感で既に胸に来る。
今日は全体的に虚無感というか空虚な感じが強めだと思った。
「歌声もない~♪」でふっとロウソクを消したあと、マリウス自身が亡霊のようだった。
抜け殻ではなくもはや死者のような虚ろで儚くて消えてしまいそうなその姿。
体だけじゃなく心にも深い傷を負ってしまったってのが今更ながら実感できてほんとしんどかったなぁ。
こうやって振り返ってみると終盤つらいしんどいとしか書いてない。
やっぱりレミゼは重い。
見る側にも覚悟と体力が求められる、ものすごく重みのある作品。
だからこそ結婚式のシーンの意義を感じるんだよね。
マリウスとコゼットは幸せだし、テナとマダムは相変わらずがめついし、死んじゃった学生やアンジョも生き生きしてて。
あれがなくて一気にエピローグだとしんどすぎるので。あそこで息抜きできるのはありがたい。
そういえば結婚式でマリウスがマダムに「金が先だ」って言われてテナルディエにお金払ってるとこ、
今日初めてちゃんと見れた気がする。
胸ポケットにすっと手を突っ込んでさらっとお札を取り出して渡すんだけど、指がほんとうに綺麗で。
いつもこのシーンなんで印象に残ってないんだろうと思ったけど給仕ウォッチングをしてたからだね。
今日の席はほぼ相葉給仕が見えないので、必然的にそのやり取りに目がいったんだ。
ここにきてようやく言及するけど橋本じゅんさんのテナルディエもよかったなぁ。
2017年も観れてなくて今回が初なのだけど、思ってた以上に渋いエエ声でした。
人生経験豊富そうだし、新井漫画版のテナルディエに似てる感じで。
もっとコミカルかつ軽妙な感じの方かと思ったら腹黒でがめつくてほの暗くて爬虫類みたいだった。
それでいて足元だけ随所でタップダンスみたいにぱたぱた踊ってたの面白かったなぁ。
マダムが銀食器落として空気が凍り付いてからの「マエストロ、アレーグロ」のところ、じゅんテナは
「マエストロ、俺が歌う~ゲロ」て言っててなんじゃそりゃって脳内でずっこけた。
うん、色々いいバランスのテナルディエでした。
やっとエピローグだ。
実はここら辺、もうちゃんと覚えてない。
そこまでのところで私自身がぼろぼろのぐずぐずで精神の消耗っぷりが半端なかったので。
そんな中でも、福井バルジャンが亡くなって「罪深き我が身あなたのもとへ」ってすくっと立ち上がるところ、
あまりにも神々しく輝いてて、ああバルジャンは光の世界へ旅立ったんだなってものすごく納得したのは覚えている。
レミゼにはいろんなテーマが含まれてるけど、結局のところ一つに絞るなら「愛」の物語だと感じた。
日本語で改めて愛っていうと照れくさいけどね。
愛によって託されたり、愛を注いで育てたり、愛によって結ばれたり、愛を得られない孤独があったり、
祖国を一途に愛したり、そもそも人を愛したことなど無かったり。
いろんな愛がそこにはあって、だからこんなに悲惨でつらい物語でも語り継がれているんだなと実感。
やっぱりレミゼはいいなぁ。
こんな感じで長い長いmy千穐楽の感想が締めくくられています。
本当はこのままの流れで2019年のmyレミゼについて観た回数とかキャストの内訳とかマイベストキャスト的なのも
振り返ろうかと思ったんですが、長くなりすぎたので今回はここまでとします。
そちらはまたの機会に。
あとレミゼ以外にも、なかなか記事は書けてないけど理生さんと松本俊明さんとのジョイントコンサートとか
はじめてのDerMond Festとかエリザベートとか歌宴とか海宝さんのソロコンとか、色々人生楽しんでます。
その感想も全部メモ書きは残ってるんですよ。
今更感もあるし、さすがに全部は無理だけど、せっかくなのでいくつか絞って表に出せたらなぁと。
ま、そこらへんはおいおい準備したいと思います。
博多の地に思いをはせつつ、一人ジュースでお祝いします。
過ぎた日に乾杯。うたごえに乾杯。
p.s.札幌は行けないけどパンフだけでもほしいな~。うううどうすりゃいいんだ。