【詳報!】プロデューサーがお教えするミュージカルの魅力
先日6月18日、栄の中日文化センター主催の理生さんゲストの講座に行って来ましたよ!
ちょうど開場15分くらい前に会場に到着。
ざっくり200人弱くらいなのかな、結構広い部屋で、しっかりと椅子と机がならんでました。
新宿の時は狭い部屋に椅子だけぎゅうぎゅう詰めだったから、だいぶ雰囲気が違うなぁと。
で、席だけ先に取っていいけどいったん退室してほしいとのことで、一度いちばん下の階まで移動しました。
今回はせっかく地元なので母を誘ったんですけど、下で待ってる最中になんだかどよめきが。
母に聞いたら「いま上原さんらしき人が目の前を通ってった気がするけど」とのことでした。
仕事のメールの返信をしてて下を向いてた自分が悔やまれます。ううう間が悪かった…。
ちなみに今回、洗い物中に手が滑って包丁で右手親指を怪我してしまい、メモを取るのが難しいかなぁと思ったんですが、
始まってみたらメモ魔の血が騒ぎ、結局がしがしペンを走らせてる自分に気がつきました。
習慣って怖い。
机があったのでノートを広げやすかったのもよかったですね。
というわけで今回も、メモ書きをもとに記憶をたどりながらつらつら書き出してみました。
東宝プロデューサーの篠崎さんは【篠】、理生さんは【理】で書いていきます。
メモ書きの足りないとこをあとからちょくちょく補ってるので、細部は違ってると思います。
ざっくり広い心でお読みくださいませ。
あ、おそろしく長いです。
まず机に配布してある宣伝チラシの説明があり、次に篠崎さんの紹介へ。
エリザ、ベス、1789などをプロデュースしているとの説明の後、篠崎さん登場。
【篠】
先ほど興味のあるチラシだけ持っていってとの説明がありましたが(笑)、
理生くんの出演するコンサートのチラシはぜひ持っていって、コンサートの方にも足を運んでくださいね。
ちなみにキバのはえた方のチラシ(ダンスオブヴァンパイアのやつです)は私のやってるもの。
そちらもよろしくお願いします。
では早速、今日のゲストに登場してもらいましょう。
何のためにワンクッション置いたのかって感じですけどね(一同笑)。
上原理生さんです。
理生さん登場。柔らかめの白シャツにいつものネックレス、メガネ姿。
【篠】
ようこそ~。
【理】
お邪魔します。
(ここでマイクの電源オフになっててあれ?ってなる理生さん)
【篠】
まぁマイクいらないくらいの声量ですよね(笑)。
【理】
そんなことないですよ(あえてマイク無しで)(イケボ)。
(会場を見渡しながら)すごいなぁ。いつもはオーケストラピット挟むので。
白日の下にさらされてる感じがしますね。
舞台の上からだと、客席って意外と真っ暗でわからないんです。舞台に集中してるので。
カーテンコールになって初めて、ああこんなにお客さん入ってるんだ、ってわかりますね。
【篠】
今日はせっかくなので、客席からはわからない話も聞いていけたらと思います。
まずはご存じとは思いますが上原理生さんのご紹介から参りましょう。
1986年生まれ、東京藝術大学、いわゆる藝大の声楽科を卒業。
2011年、25歳の時にレ・ミゼラブルのアンジョルラス役でデビュー、以来ロミオ&ジュリエットのティボルト、
ミス・サイゴンのジョン、1789のダントンなどを経て、今年からレ・ミゼラブルのジャベール役をやられている、
まさにミュージカル俳優と呼べるにふさわしいキャリアのお方です。
【理】
はい。きのう(6/17)初日でした。
【篠】
そちらをご覧になった方は?(ぱらぱら挙がる手)
あ、微妙な反応ですね(笑)
ではこれからご覧になる方は?(結構挙がる手)
【理】
これから見る方に話すほうが怖いかもしれないですね。
なんかハードルが上がってしまうというか。
【篠】
では東京で見た方は?(こちらもわりと手が挙がる)
【理】
ありがとうございます。
【篠】
理生くんと一緒にやったのは1789ですかね。
2016年と18年、残念ながらどちらも名古屋でやってないのですが。
俗に言う名古屋飛ばしというやつですね(一同笑)。
講座でもよく「なぜ名古屋は飛ばされるんですか」って聞かれます。
いや、別に飛ばしてないんですよ!
でも、名古屋に上演できる劇場がなかったり、そもそも名古屋の主催者の方がやるかどうか判断されるので、我々が決められるわけではないんです。
名古屋飛ばして大阪行くか!博多にしようか!とかそういうわけじゃない(笑)
では、1789をご覧になった方は?(結構手が挙がる)
【理】
わーお。おおすごーい。
【篠】
その時に初めてご一緒したんですよね。
あ、一回だけ飲みに行ったよね。大阪の夜、徹平くんの知り合いの店に。
徹平くんがギターを弾いて、カラオケなんかもあったりして。
僕人生であんなに上手な「千の風になって」聞いたことないですよ!
理生が歌って。本人が出てきたのかなってくらい。
いやなんの話だって感じですけど(一同笑)。
【篠】
今日は俳優からの目線でいろいろ聞ければと思っています。
ミュージカル俳優への道はいろいろあると思うんですけど、その中での理生の場合はまず藝大ってとこかな。
普通の大学と違うじゃないですか。
そもそもそこを目指そうと思ったのは?
【理】
目指そうと思ったのは高校生の時ですね。
もともと歌は好きだったけど、ロックンローラーになりたかったんです。
ちょうど小学校中学校が90年代で、ラルクとかその後Queenとかに憧れていて。
それで高校生になってバンドを組んでロック道を歩もうと思ったんです。
でもその高校に軽音部がなかったんですよね。
じゃあギターを弾けるようになろうと。それでギター部に入部しようとしたんです。
【篠】
あ、ギター部はあったんだ。
【理】
はい。
で、ここだ!ってなって担任の先生に入部届を持っていったら、「君は合唱部の方がいい」って言われて。
どうやら担任と音楽の先生との間で裏取引があったみたいなんですね。
それで、「いや先生俺合唱じゃなくてロックがやりたいんです」って言ったら、
「大丈夫、合唱部でもギターやれるから」って言われて(一同笑)、じゃあまぁいいかって。
それで1年間合唱をやったら、1年生の終わりに先生に「お前声楽やらないか」って言われたんです。
でも僕はそこでもまだロックをやりたかったんですね。
クラシックは正反対じゃないですか。
それでも先生に説得されるうちに、音楽の勉強できるならいっかって。
【篠】
流されやすいんだね(笑)
【理】
そう(笑)
それで2年生から声楽をやり始めたんです。
【篠】
でも藝大って普通は小さいころからめざすものじゃないですか。
生まれる前からクラシックやってました、みたいな人ばっかりというか。
【理】
大半はやっぱりそういう環境でやってた人でしたよ。
【篠】
それで受かっちゃうのがすごいよね。
【理】
たまたまじゃないですか。
でも受かるための勉強しかしていなかったんで。
入ってからが大変でしたね。
ぜんっぜん話についていけないんです。
「あのオペラのあのアリアいいよね~」って言われても全然わからない。
【篠】
声楽科ってどういう勉強していくのかな。
【理】
普通の一般教養、音楽史、週一のレッスン、合唱の授業って感じですかね。
本当に勉強と歌っていう感じです。
【篠】
楽器は弾かなきゃいけないんです?
【理】
楽器を弾くってのはないですね~。副科で選べるけど、受験の時はいらないです。
受験は歌が9割、あと少しピアノをさらう程度で。
それがあればおバカでも平気。だから馬鹿が多いんです。
すっごいいい声で宇宙戦艦ヤマトを歌ったりしてる人がいる(一同笑)。
【篠】
つまり浪人とかせずに受かったってこと?
【理】
ありがたいことに。
でも浪人してる人も多いんですよね。そういう方たちは知識も技術もあって。
何浪もしてるから、高校生のコンクールの声楽部門1位が同じ学年に何人もいるんです、年度ごとの(一同笑)。
ほんとやってらんないですよ。全然勝てないんで。
でも入っちゃえば環境はクラシック一色でしたね。
【篠】
その段階でもロックンローラーをやりたい気持ちってのは残ってるの?
【理】
まだちょっと残ってるんですよね~(笑)
でもクラシックの美しさに惹かれていきました。
自分の学年は結構リベラルな感じで、ミュージカル好きも多かったんです。
それで、新入生歓迎会でミュージカルのガラコンサートをやったり、自分たちでカンパニー作ってサークルみたいに活動したりしていて。
それに誘ってもらいました。
【篠】
大学に入ってからミュージカルに触れたって感じですかね。
【理】
そうですね。
ミュージカルは舞台芸術のクラシックの流れとロックの流れが融合しててすんなり入ってきました。
あとは必ず日本語でやるってのがね(ここでくすくす笑いが起こる)。
あれ、なんかうけたぞ?
【篠】
オペラは基本的にヨーロッパの原語だもんね。
【理】
ぶっちゃけ聞いててもわからないんですよ(一同笑)。
ある時日本語でオペレッタやったら、反応が全然違ったんです。
それが本当に楽しくて。
日本語でやって、お客さんもそれを楽しめるのが素敵だなって。
その時にレミゼのオーディションのお知らせもらったんです。
【篠】
レミゼの全キャストオーディションって、すごい量が来るんですよ。
音源を全部ちゃんと聞いて、係の人が(一同笑)。
係の人っていうか歌唱指導の方か(笑)。
その期間会議室をおさえて、すごい数をみんなで聴いてるんですよ。
じゃあ、仲間内でもみんなオーディションに出してたって感じなのかな?
【理】
どうだろう?
その話したことないな~聞いてみよ。
【篠】
いまだにみんなと仲良くしてるのかな。
【理】
ひとりぐらいですかね(一同笑)。
ほかのみんなはどこで何してるのか。
【篠】
レミゼのオーディションは4年生の時?
【理】
あ、卒業後です。
クラシックを極めたくて大学院の試験を受けたら、そこで落ちたんです。
あっちゃー、俺の未来どうなっちゃうのかなってなって。
【篠】
結構難しいもんなんでしょ。
【理】
かなり。学部に比べても人数絞られるし。
で、大学院浪人してたけど2回目もダメで。
じゃあどうしようかなってときにレミゼのオーディションがあって、受けさせていただいて。
【篠】
そう考えると、オーディション一つで人生が変わるってことだね。
【理】
本当にありがたいことですね。
受かってなかったら何してたかな。プー太郎かな。
【篠】
オーディションって作品によって違うじゃないですか。
レミゼっては他と違うとこがって。
演出もスタッフも外国の方で、本国の審査があるんですよね。
ほかの作品はたいてい日本で選ぶけど、レミゼはオリジナルプロダクションのスタッフが来て選ぶ。
最初は歌唱指導の人が選んで、テープ審査で通った人の映像を一度送るんですよね。
じゃあ最初に受けたときの役は?
【理】
アンジョルラスで出しましたね。
そのときはオリジナル版のファイナル公演だったんですよ。
最後の最後の最終審査にジョンケアードさんがいらしてました。
【篠】
そもそもレミゼは見てた?
【理】
あのですね、学生時代にやってたんです。サークルで。
アンジョルラス似合うと思うからって。チートが入ってるけど、予習済みでした。
それで出会って大好きな作品になって、だからオーディション受けてみようってなったんですよね。
【篠】
じゃあ全然知らない作品だったら受けてないかもしれないと。
【理】
そうですね~。
東宝プロデューサーの前で、その役をやったことがあるなんてこんな大きなことを言いづらいけど。
【篠】
最初のオーディションはすごく緊張したでしょ。
何を歌うんです?
【理】
ふるいにかけるってことだろうけど。
みんなで同じ部屋に入って、一日の終わりにを一人ずつ歌うんですよ。
その時に「これを歌ってそのあとに希望した役を歌うんだろうな。ウォーミングアップだ。」ってすらっと歌ったんですね。
で、みんな終わった瞬間に「はい、今日これで終了です」って。
まじかよ!落ちた!って。
まあでも次に呼ばれて、アンジョルラスを歌いました。
そこで落ちてたらシャレになんないですよ。
そもそもそういうオーディション自体初めてだったので。
こういうとこでこんな雰囲気でやるのかって思いました。
【篠】
で、2回目の時どんな感じだったの?
【理】
その時は1人ずつ部屋に入って審査員の前で歌う感じで。
【篠】
出てくと次に待ってる人がいたり、すれ違ったりするんですね。
そのときだれかいたりした?
【理】
その時は覚えてないなぁ。
あ、最終審査でKENTAROさんいました。
あのときはジャベールだったんですよね。
インパクトあるから覚えてます。
パンフ見て顔を覚えてて、本人いて、あ、この人かって。
【篠】
でも学生時代にやってた人が本当の役になっちゃうって、何人の人がいるんでしょうね。
【理】
デビューした時に学生時代の仲間が来て、俺たち分家だったのに本家になっちゃったねって言われました。
【篠】
そう考えるとほんとすごいですね。
稽古のことは?
【理】
最初は何もわかんなかったですよ。
【篠】
この格好のまんまでいっちゃったとか?
【理】
あ、着替えはちゃんと持っていきました。そこら辺は予習済みで。
でもほんとわかんなかったです。
そもそも知らない人がいっぱいいる~、みたいな。
【篠】
僕も最初スタッフで入って、あそこの人は何をやってる人なのか、これは誰に聞くのかって全然わからなかったです。
その時はおんなじ役が3人とかいたんだっけ。
【理】
そのときは2人かな。
【篠】
よく井上芳雄くんがダブルキャストの相手の悪口を言ってるけど、どうなの?(一同笑)
ああうまいなぁ、とか、こうやるのか、とかある?
【理】
あのときはそんなこと考える余裕なかったですね。
ど素人だったから。
ほかのこと考える余裕なかったです。
結果全然わからなくて。
【篠】
初日は覚えてるもんです?
【理】
めちゃめちゃ緊張しましたね。
今もだけど、幕あいてお客さんの反応見て、いい反応じゃないといいものと言えないなぁと思ってるので。
その時はどうなるんだろうって思ってました。
アンジョルラスでABCカフェのシーンで登場で、エポニーヌが歌うシーンのあと盆舞台でぐるっと回ってABCになるので。
スタンバイの時に本当にどきどきしてたら、まわりの人も大丈夫だよって言ってくださいました。
それでぐるっとまわって登場をして。
最後に赤い布を掲げて「むれとなりーてーーーーー」って歌うとこですごい拍手をもらえたんですよね。
それを聞いてそこから楽しんでできるようになりましたね。
大学の時に亡くなられた恩師の方が「拍手が人を育てるから」っておっしゃってだんですけど。
ぜひ、いいと思ったら、素晴らしいと思ったら迷わず拍手してあげてくださいね。
特に若い人達にはそれが救いになるので。
【篠】
早速ですがその2011年の帝劇のレミゼ、まさにそのシーンを。
【理】
あるの?これ24歳なんですよね。
うわーはずかしー。
あ、邪魔ですかね(といってプロジェクター前から移動)。
【篠】
では。盆が回ります。
【映像(ABCカフェの始まりからレッド&ブラックの決めポーズまで)】
(若い)(24には見えない。リーダー感満載。)
(理生さんが「なつかしー」とか「○○さんこれやってたんだね」とかなんかもそもそ言ってる。)
【篠】
それ独り言?
【理】
うん、独り言(一同笑)
(映像終わって拍手)
【篠】
この拍手で救われたというわけですね。
【理】
いや、この後のシーンですね(笑)
いやでも若いですねー。自分で見ても若いし、恥ずかし~。
まぁデビューにしてはいいんじゃない?(一同笑)
でもこの映像初めて見ました。すごい貴重映像ですね。
映ってる他のメンバーに、今も一緒にやってる人がいるんです。
デビューから見てくれてる、戦友という感じですね。
【篠】
今となっては幻のアンジョルラスですよ。
ちなみにこれをご覧になってる方は?(ぱらっと上がる手)
どうでしたか?って本人の前で聴くのもあれだけど。
お客さん→「それからのファンです」
【理】
ありがとうございます。
【篠】
持ってかれちゃいますよねハートを。
【理】
(笑)でも青いですよね~。
【篠】
デビューしての反応はどうでした?
【理】
お手紙もたくさんいただいて、出待ちもいっぱいで。
びっくりしましたよ。
あの時はファイナル公演だったってのもあってフィーバーで、両手にいっぱいプレゼントで筋トレみたいになってて。
あ、これ持って帰るのかって。
それだけいいと思ってくれたのかなぁと思いますね。
【篠】
次が全く毛色の違うロミオ&ジュリエット。
あ、これに関してはこの前刈谷には来ましたね。
一応名古屋飛ばししてないという。
ロミジュリは初小池ですよね。
【理】
初小池ですね。初修ちゃん。
この時はオーディションだったんですけど、小池さんとそれ以前の学生時代に面識があったんですよ。
授業持ってたんです、藝大で。
講師という形で、年度の最後の方にいらしてって感じでした。
同級生の同じサークルの女の子で宝塚大好き子がいて、その子が「イケコがくる!!」って(一同笑)。
で、その子は履修してて僕はその授業を取ってなかったんですけど、
「イケコ来るから理生絶対来た方がいいよ!聴講生でもいいから!!」って。
その授業は短いオリジナル作品を作るっていう授業だったんです。学生が。
【篠】
じゃあそれをアドバイスするのが小池さんと。
【理】
そう。
で、僕履修してなくて聴講生なのにキャスティングされたんです(こんな感じでっていうモノマネ付き)。
それで面識がありました。
オーディションはお世話になった人からの連絡でしたけど。
【篠】
じゃあ小池さんからなのかもですね。
小池さん、見てる作品数が半端ないんですよ。
昨日エリザベートのマチネのチェックで来て、一度いなくなってソワレもまた来たんです。
そうしたら、間で歌舞伎座行ってきたって。
三谷歌舞伎をチェックしてから戻ってきたんですよ。
だからレミゼを見て、上原理生こんな風なんだってなって、ロミジュリに呼んでみようってなったのでは。
ちなみにロミジュリはどの役で受けたの?
【理】
役は2つですね。
ベンヴォーリオとティボルトを受けました。
で、歌い終わったらめちゃくちゃ笑ってるんですよ小池さんが。
それで「どっちやりたい?」って聞かれてティボルトって言ったらティボルトになりました。
【篠】
言ってみるもんだね(笑)
ベンヴォーリオもイメージ的にはあってる気がするけどね。
でも今ロミジュリは若返ってるからね~。
【理】
もう無理か(笑)
【篠】
もう大公とかお父さんとかじゃない?(一同笑)
【理】
でもティボルトもっかいやりたいんですよね。
まだ2作目だったので、いろいろわからなくて。
だから悔しいです。
いまやったら絶対もっとよくできるのにって。
【篠】
そんな右も左もわからない頃のティボルトを。
【理】
あるんですか?うわーーー
CDは聞いたことあるけど映像は初めてだ。
あ、邪魔ね(といって場所を移動)(一同笑)。
【映像(本当の俺じゃない)】
(若い)(アツいティボルト)
(見てる理生さんが途中で位置を壁際にそって少し後ろに移動)(画面を凝視する理生さん)
(拍手)
【理】
恥ずかしさのあまり汗がでてきますね。
懐かしいなぁ。あと背が高く見えるね。
【篠】
レミゼとは全然作品も違うし、これ録音ですからね、音源が。
【理】
あ、そうですね。
でも右も左もわかってない感満載ですね。
恥ずかしいなぁ。もっとできたなぁ。悔しいなぁ。
でも懐かし~。あんな衣装だったなぁ。
篠さん使ってくれませんか。
【篠】
俺この作品は関係ないから(笑)
小池さんに言うことはできるけど。
【理】
言ったんですよ、1789の打ち上げの時に。
ティボルトもっかいやりたいですって言ったら、君はロック歌えるのか?って聞かれました。
やっぱダメかな、やりたいんだけどね。
【篠】
駄目だろうね(一同笑)。
若返ってるからね。
ところでこないだのティボルトって誰だったっけ?
【理】
大ちゃんとヒロ。
そこは年上!行けるんじゃないですか!!(拍手)
【篠】
いけるかもね!
【理】
じゃあスケジュールが合えばぜひ。
ティボルトもっかいやりたいな~。
【篠】
その次がミスサイゴン。
そう考えると大作ばっかりですごいね。
これは作品として知ってた?
【理】
ブイドイをはじめに聞いたんです。作品を見る前に。
いい曲で、いつか歌いたいとずっと思ってました。
【篠】
それを歌えてしまうって本当にすごいよね。
【理】
いやいやいや。
ラッキーだしありがたいですよね。
それでジョンを受けました。
ちょうどサイゴンが新演出版に変わるときだったんですよね。
【篠】
そうか~。
育三郎とだったよね。
【理】
そうそう。
ダブルが岡さんで。
新妻聖子さんがキムでしたね。
【篠】
そういえば全部いくとだね。
レミもロミジュリもサイゴンも。
【理】
そうそう。役柄も近い感じでしたし。
【篠】
早速ですがそのブイドイを。
【理】
ひえー。
【篠】
また本人が視界の邪魔になるという(一同笑)
【理】
これ25歳ですかね当時。
(ここで少しトラブル)(音は出るけど映像が出ない)
【篠】
このままじゃ皆さんに怒られちゃう。
じゃあ本人が身振り手振りで口パクでやるってのはどうです?(一同笑)
【理】
そんなのあり!?
【篠】
で、動きが違う!って言われるんですよ。みんなの方が多分覚えてるので。
あ、いけそうですね。
【映像(ブイドイ歌い始めから育三郎さんがでてきて少し歌うとこまで)】
(若いねやっぱ、とぼそっとつぶやく理生さん)
(確かに若い)(でも相変わらずすごい歌唱力)(写真でしか見たことないシーンが動いてる!)
(拍手)
【理】
は~。直球勝負って感じですね。
【篠】
いい曲ですね。サイゴンだとこの曲が一番好きです。
実は1回しか見てないけど、この曲しか覚えてないんです。
【理】
やっぱり実際の映像使ってるのもいいよね。
この作品に携われてよかったです。
内容もだし、演出家でダレン・ヤップさんが来てくれて。
新演出版の基盤を作るっていうので、新しい演出の仕方、舞台での生き方を丁寧に教えてもらって。
それが今でも舞台に立つうえでの根幹になってるんですよね。
舞台上で生きることを教えてもらったというか。
ターニングポイントでしたね。すごく勉強させてもらいました。
それこそ神様みたいな、慈愛に満ちてて優しくて、でも熱い、愛情深い人で。
一緒に涙を流して真摯に向き合ってくれて、すごい恩があります。
【篠】
3作品目にしてまた違った演出家の方と出会ったと。
【理】
それまで暗中模索でわからなかった日々に、これでいいんだよって道を示してくれる機会だったのがミスサイゴンですね。
【篠】
またやれるといいですね。
【理】
そうですね~。
前回、大千穐楽が名古屋で、ひょうごけんりつ、ちがう、愛知県芸か(一同笑)。
そこで僕の出演が99回で終わったらしいんですよ。
あと1回やったら三ケタになるんで、1回でいいからやらせてほしいですね。
いつかまた、ダレンさんとやりたいです。
【篠】
この後色々な作品がありますが、その中でヴェローナの二紳士の映像が。
(ここで噴き出す理生さん)
ご覧になった方は?(ほぼ挙がらない)
これ名古屋でやったんですけどね~。
【理】
亜門さんとは初めてだったんですけど、ものすごく動き回って見せてくれて、で「やって」って感じでした。
で、すごいおいしい演出をつけてくれたんですよね。
僕は凄く楽しんでやらせてもらいましたよ。
【篠】
僕も実は観てないんです。
自分の作品とかぶってたので。ちょうどショーシャンクの空にをやってたんですよ。
で、映像を今回見てみたら、ああ面白そうだなって。
【理】
出演者も豪華ですよね。
西川さん堂珍さんあと筋肉体操の武田さんとかブラザートムさんと霧矢さんとか。
(ここで1789の映像が流れる)
あ、ダントンだー。
【篠】
ヴェローナ飛ばそうと思ってたんですよ(笑)
でもやっぱりみたいなぁと思って。戻ります。
【映像(エグラモー登場シーン?)】
(映像を見ながらしゃべる理生さん。)
【理】
客席から登場するんですよ。石油王みたいな恰好で。で肩に鳩載せてるんですよね(一同笑)
【篠】
鳩これ?(ポインターで指し示しながら)
【理】
それ!(一同爆笑)
腰に下げた金のランプをこすると煙が出て、それをかぐとみんなバッタバッタ倒れてくんです(一同笑)。
【篠】
これどんな気分でやってるの?(一同爆笑)
【理】
楽しんでやってます。
(キスシーンで)あ、これキスしてないですよ。
(映像終わって拍手)
【理】
ほんとこれ突っ込みどころが満載なんですよ。
すごい面白かったですね~。
亜門さんが、「オペラ歌手の感じで来て!ただ朗々とやってくれたら十分だから!」って。
でそのあとのシーンで裸になるんですよね。
テントの中で着替えるんです。
霧矢さんがいてそこで着替えて、すっげー恥ずかしいなーって思ってたら霧矢さんが「手伝いましょうか」って(一同爆笑)。
【篠】
じゃあ各地で転々と裸になったと。
【理】
もう怖いものはなくなりました。
【篠】
では、次は1789を。2016年と18年とありますが、初めて一緒にやったんだよね。
理生がダントンっていう実際の人物を演じて。
実際の肖像画はものすごい不細工なんですよね。
で、似てないんだけど、理生の作ったダントンが豪放磊落で、ダントンってこういう人だったんだなって。
ぴったりだったと思います。
【理】
たのしかったですよ。
愛らしいというか、しっくりくるというか。酒ばっか飲んで(笑)
【篠】
今までの理生のイメージとも違うよね。
【理】
今までそういうのを見せることがなくて、それを引き出してくれた感じですね。
【篠】
この作品、男性がたくさんでてるじゃないですか。革命派と王党派と。
吉野さんとかサカケンさんとか渡辺くんとか、キャスティングが大変でした。
【理】
そこ聞きたいな。
【篠】
誰がどこにってのは結構パズルしましたね。
しかも、東宝版がどうなるか小池さんしかわからなくて、どこか変更点があるかもっていう状況で、
台本が固まる前にキャスティングしなきゃいけないってなっていて。どうするんだって。
だから理生がアルトワ伯だったかもしれないんです。
でも結果決まるべくして決まったという感じになりました。
じゃあ、パレロワイヤル2016年と18年つなげて流しますね。
ちょっとだけ変わってるところがあるんですけど、ご存知の方は?(手が挙がらない)
あれ、知らない?だいたい聞きに来る方は遠慮しないんですけど。
【映像(ダントンのセリフからパレロワイヤル全部)】
(ダンシャルちゃんのダンスのとこが二重に流れる)】(振りが違う)
(自分が観に行ったことあるのが流れるのはこれが初めて)(懐かしいなぁ通ったなぁ)
(別角度がいっぱい)(「紳士になれる」の部分のロナンのダンス映像が入ってる!)
(ちなみに18年のはひなりちゃんシャルロットてぺロナンver)
(映像終わって拍手)
【理】
いい曲ですよねー楽しいよね。
自分も踊ったし、みんなほんとに大変な舞台で、けがもあって。
でもダンサーのみんなが、パレロワイヤルが一番楽しいって言ってくれて、それがうれしかったですね。
【篠】
それぞれどの役にも個性があっていい作品ですよね。
そうこうしているうちに時間が来てしまいましたが。
こうやって振り返って、どうですかね?
全くミュージカルに縁がないとこから始まって、それが2011年からミュージカルの世界に入って、どうですか。
【理】
そうですねー。
本当にありがたいことに、大きな作品に出させて頂いて。
振り返ると最初はロックンローラーになりたくて、でも藝大に行ってクラシックをやってミュージカルに出会ったという感じで。
ミュージカルに出会ってなかったら同じ歌でもこんなにだくさんのジャンルをやっていなかったなって思うんです。
こんなにたくさん歌えるっていう部分で、視野を広げてもらえたのかなって感じですね。
総合芸術だとつくづく感じますし。
役者、プロデューサー、小道具、大道具、スタッフ、いろんな人が作り上げているものなので。
デジタルの世の中で、舞台芸術は究極のアナログだと感じます。
沢山の人が集まって、それぞれの人の手で作られるのが芸術なんだなってのをすごく感じるようになりました。
人のつながりや一瞬にかける思い、汗、そういうのが糧になって舞台を作っているのだと。
【篠】
みなさんが思ってる以上に本当にアナログなんですよね。
セットを動かしてるのも人ですから。
小道具一つとっても人が作ってるんです。
そいういう細かいとこの仕事をみなさんが感じて作品の良さにつながってるのかなとも思いますね。
じゃあこれからやりたいこと、役は?
【理】
人間じゃない役、それ、そのキバの人とか(といって皆の机の上のダンスオブヴァンパイアのチラシを指す)。
吸血鬼やりたいですね。あとジキハイとか。
【篠】
狂気の役って感じですかね。
逆にみなさん、こういう役が合うと思います、こういうの見てみたいですとかは?
答えづらいですか?
じゃあ全体に関して、質問がある方は挙手を。
以下質疑応答コーナー
Q.ミュージカルはアメリカや日本では文化になってるけど、ヨーロッパやアジアではあまりミュージカルが
文化になってない印象がありますが、いかがでしょうか?
【篠】
ヨーロッパだとイギリス、ロンドンかな。
【理】
詳しく知らないですけど世界各国でやってるのかも。
【篠】
ただ1789の時にも聞いたんですけど、フランスはミュージカルが根付いてないですよね。
【理】
やっぱり国によってちょっと違うと思います。
Q.歌のない、いわゆるストレートプレイの違い、良さはなんですか?(といった感じの質問だったと思います)
【理】
ストレートプレイはまだちょっと歴が浅いから良さを伝えられるほどじゃないですけど。
だからミュージカルの点でお話しします。
ヴィクトル・ユーゴーが言ってて。
「音楽は、人が言葉で表すものを言葉でない事柄でもって表現する(ニュアンス)」と。
つまり目に見えない心情を言葉でないもの、歌、で表現することができると思うんですよね。
ストプレの方はごめんなさい。
でも、ミュージカルの題材にできないようなものができるとは思います。
【篠】
たしかにミュージカルは歌わないといけないですからね。
だから作風によってはミュージカルにならないものもあるだろうけど、ストプレだとそれがないと思います。
Q.この演出、舞台セットが好きだったなってのは何ですか?
【理】
1789ですね。
【篠】
ありがとうございます。それを言ってほしかった~。一番お金かかってるから。
【理】
でもあれはお世辞抜きでこれ(と言って手を上下に動かす)がすごかった。(←額縁のセットのこと)
王族派と革命派がわかるじゃないですか。あれがすごい。
【篠】
小池さんともそこを話しましたね。
王宮が民衆をつぶす形にしたい。
そのために額縁が下がってそのうえが王宮、それが上がると下から民衆が出てくるっていう風に。
それでみんなで埼玉の大道具の工場に行ったんですよね。
傾斜があるので、実際にどうか、踊れるのかって。
【理】
そこに行くまで全然イメージわかなかったですね。
特に民衆はあの上に乗ることができないので。
去年トークショーで、新歌舞伎座であの上に上ったのがうれしくて。
あれテンション上がったなぁ。
でも、作品ごとに描きたいものって違って、その作品で描きたいベストの舞台芸術があって、すべて素晴らしいと思います。
【篠】
ぜひ見た目の美しさと、そこに込めたメッセージも見てほしいです。
【理】
そこもミュージカルが総合芸術って感じる部分のひとつですね。
Q.妄想ですが、劇団四季とか宝塚の作品でこれがやりたいってのがあれば。
【理】
良い質問でしたね~。
それこそ四季だったらファントムやりたい。
ミュージックオブザナイト歌いたいですね。
宝塚だとひかりふる路っていうのがあって、1789のあとのロベスピエールの作品なんですけど。
ダントンっていう映画があるんだけど、オマージュがちゃんと織り込まれてるんですよね。
恐怖政治に賛同しないダントンが、民衆からの人望が厚くなっていってて、
ロベスピエールから反乱因子とみなされてしまって、話し合うけど処刑されちゃうっていう。
そのダントンをやりたいですね。
1789とは違うテイストだし、あの映画がちゃんとオマージュされて素晴らしいし、シリアスなダントンをやりたい。
みなさんの力でどうにかなるんでしょうか。
あと、作曲がワイルドホーンなんですよね。
スカーレット・ピンパーネルでもロベスピエールやったけど、ワイルドホーンの楽曲も好きなので。
また彼の曲を歌ってみたいです。
Q.最近テレビとかで倫理的に使われない言葉があったり、下にテロップでが注が出たりしますが、
ミュージカルの中でも使ってはいけない言葉とか振り付けとかあるんですか。
【篠】
自主規制、どうかな実はそれほど意識していないところですね。
【理】
我々もそんなに制約を受けている感じはしないですね。
【篠】
一般的にミュージカルのジャンルとしてそういうとこに抵触してくるものが少ないのでは。
ストプレでもそんなにない気がしますね。
その辺はわりと自由というか。
なので安心してご覧ください。
【篠】
時間も来たので、最後に一言お願いします。
【理】
ひとこと?うーん。
本日はお集まりいただきご清聴賜りありがとうございました。
ちゃんとみなさんが求めていた話をできましたかね(拍手)
みなさん観劇するのが好きな方たちだと思うので、その愛を忘れずに、舞台に足を運んでくれたらと思います。
キャストスタッフ、みんなそれが励みになって頑張れるので。
これからも楽しみにして頂けたらと思うし、我々もそれ以上のものを見せられるように頑張るので、また劇場にお越し下さい。
本日はありがとうございました。
(拍手)(退場)
こんな感じでみっちり12,000字超の大作になってしまいましたよ。
や~貴重映像盛りだくさんでほんっとうに楽しかったです!!
ざっくり言うと新宿の朝日カルチャーの講座はレミゼのジャベールについて掘り下げていく内容で、
今回の栄の中日講座は上原理生というミュージカル俳優について掘り下げていく内容でしたね。
正直似たような話になるのかなぁとか勝手に思ってたので、嬉しい誤算でした。
自分がファンになってから浅いので、昔の映像が見られる機会は本当にありがたいの一言です。
というか東宝さん結構映像持ってるんだね!その映像もっといろいろ世に出してほしい!!
今回、一緒に行った母と、一番印象に残った部分は何かという話をしてみたら、同じ部分が挙がりました。
母も思わずメモを取ってたので、ああ感受性が似てるんだなと思ったり。
それは、理生さんが終盤で語っていた、「ミュージカルは総合芸術でありかつ究極のアナログである」という部分です。
やっぱり私は、人の手が作り上げるもの、沢山の人が協力して出来上がるもの、機械に取って代われないもの、
一瞬一瞬に思いが詰まったもの、そういうものにものすごく惹かれるんですよね。
いろんな芸術作品が好きですし、それこそそういう勉強もしてきたので絵画も彫刻も建築も色々大好きですが、
その中でも私が一番惹かれるのが身体表現芸術、つまり舞踊やダンスや演劇みたいな舞台芸術なんです。
その理由を改めて言語化してもらった気がしたというか。
究極のアナログで一回きりでたくさんの思いが詰まったその一瞬って本当に魅力的なんですよね。
しかもそこに音楽の力が宿っている。言外の感情を歌に乗せて表してくれる。
本当に素晴らしい総合芸術だと思います。
だから私はミュージカルが好きで、劇場に通うのをやめられないんです。
さて、明日はレミゼ名古屋千秋楽!
両親の分もチケットを取ったので、一緒に見に行けるのがすごく嬉しいです。
6月19日ソワレの感想をまだまとまられてないのが心残りだけど、この記事だけでも書きあげられてよかった~。