【詳報!】上原理生の語る魅惑のミュージカル
5月15日、新宿にて行われた朝日カルチャーの理生さんの講座に行ってきましたよ。
なんかもうすごかった…!
ほんと行けてよかった!!
ジャベールを中心にレミゼについてのお話がみっちりで、理生さんファンにもレミゼファンにも沢山学びのある講座でした。
当日、開場時間すこし前に整理番号順に並んだんだけど110~120人くらいいたのかな。
学校の教室くらいのサイズ感の部屋に入ったら椅子がぎゅうぎゅう詰めで、この時点で抑えた熱気がすごい。
後方席でメモを取りつつ聞いてたのだけど、あまりの情報量の多さに頭がほわほわしました。
ただでさえ汚いメモを書き起こしつつ、ついでに前後の流れを思い出しつつで、まとめるのに時間がかかっちゃったよ!
というわけで口調とか細部とか違ってるだろうけど、雰囲気だけでも伝わればいいなぁと思います。
ちなみに進行役をして下さった村上さんとの対談のような形式でした。
村上さんは【村】、理生さんは【理】で書いていきますね。
あ、めっちゃ長いので覚悟しといてください。
(理生さん登場。わ、濃い!が最初の感想(こら)。メガネで黒シャツにいつものネックレス姿。)
【理】
たくさんのお客さんがいて近いから緊張しちゃいますね。帝劇はオーケストラピット挟むから。
警部負けちゃう(一同笑)。
【村】
上原さんのジャベールを見た人は手を挙げてください。
(けっこうな数の手が挙がる)
【理】
ま~。警部カンゲキ♡(一同笑)
【村】
アンジョルラスからジャベールに移った初日の感想は?
【理】
革命を起こす側から鎮圧する側になって、バリケードの景色は同じでも気持ちが違う。
ふしぎだな~と。血気盛んではなくなった感じ。
【村】
ひときわ(見た目が)おじいさんに作ってある感じですよね。
【理】
僕意外と若いんですね(一同笑)。
ジャベールは52歳。若く見えるから英国スタッフの指示でそうなったんです。
【村】
3人のジャベールの中で攻めてると感じました。蛇みたいというか。対決の笑顔も印象的でした。
【理】
あそこは稽古の時も笑っちゃった。
原作にもその記述があるんです。
証拠が掴めなかった悔しさよりカンがあってたっていう喜びが勝ってると。悪魔のようなほほえみというか。
演出の方からも猟犬が狩りをする喜びみたいにしてほしいということで、ばっちりハマったなぁと。
新しいジャベールと言ってもらうけど、けっこう原作から取ってます。
【村】
役に入り込む、憑依系なのかな。色んな役作りがある中で、構成のきっかりした中の狂気を感じます。
では1番最初にジャベールに決まった時の感想は?
【理】
よかった~~(ため息混じりに)。
前回でアンジョルラスは最後と決めてました。あの時点で勝ちそうだったし、周りも若くなってるし。
他の作品でも革命やってたりで、バスティーユ落としたり恐怖政治したり革命のプロみたいになっていて(一同笑)。
学生の信念やその青臭さから離れてるなぁと。
なので、最初からアンジョルラスは受けず捨て身でした。
ダメだったらレミゼからしばらく離れるかもしれないと思ってたので、本当に安心しました。
オーディションはジャベールとバルジャンで受けたのと、じゃあ次はジャベールで来て、の計2回でした。
【村】
学生の真実味・実感って大事だと思います。劇世界の前提なので。
アンジョルラスはソロがないプリンシパルで、キャラクターの華で勝負するから、裏返すと芸の力じゃないというか。
上原さんも岡さんも歌えるけどそういう問題じゃないですよね。学生が50代じゃダメ(一同笑)。
【理】
ユゴーが6月暴動を取り上げた理由のひとつじゃないかと思います。
若者が立ち上がり、散っていった。それを残そうとした意志を汲みたいですね。
【村】
アンジョルラスをやっていたのころのジャベール観は?
【理】
その時はアンジョルラスとして生きていたんで。
敵の首領、スパイとわかって「こいつ抑えときゃ勝てるかも」といった感じでした。
【村】
ジャベールがガブローシュに見破られて銃に手がいくじゃないですか。
上原ジャベールがそこの戦闘数値1番高い(一同笑)。
【理】
昔は俺も戦ったからね(一同笑)。
【村】
下手するとほんと銃を乱射しそう。
【理】
ほんとにやりたいんですよ(一同笑)。
奪った先に必ずアンジョルラスを狙うと思います。戦いなれてないから、こいつが倒れたら崩れるだろうなと。
あの場で戦った経験があって、ここにこれがあってこうってわかってるから!(一同笑)
【村】
バルジャンがジャベールを逃がすとこの背中が印象的です。前はスタスタ、今回はゆっくり。
【理】
「色々言うけどお前はどうせ囚人。どうせ撃つんだろ。じゃあ撃てよ。撃て!撃て!!(イケボ)」で撃たれない。
負けたっていう屈辱感と、徒刑囚が違う存在になった焦燥感を噛み締めてます。
彼の道理では復讐されて当たり前で、絶好のチャンス。
なのにバルジャンは許す。それは初めて触れる考えで、人の慈愛・許しというもの。
そういうものに全く触れてこなかったのは悲しい男だなぁと思います。
【村】
レ・ミゼラブルはキリスト教の精神で、許しと裁きが対立事項としてありますね。
バルジャンが許しでジャベールは裁き。それについてはどうですか?
【理】
ジャベールは旧約聖書の神様を信じてるんです。
その神様は悪い事をした人に天罰を下す。見てるからしちゃだめっていう戒律。
本当の神は後者だと思います。愛の精神。
でもジャベールにとっては別世界だった。
愛情を注がれないし、人を愛することも愛されることもない。
それを徒刑囚から教えられた、その屈辱感と驚きがあって。
でも彼も人間だからそれがわかるんです。
人として正しいのはバルジャンで、法として正しいのがジャベール。
それを知らされてヒビが入っちゃう、そういう違いがあるのかなぁと。
【村】
旧約聖書はユダヤ教の精神。神は厳しく恐ろしいもの、という考えで。
愛が大事だというのは掟への反逆で、だからこそ迫害されていったんですね。
でもそこが人間の本音と建前なんです。
フランスはカトリックの国で、厳しくもいいかげん。
ユゴーも人間の建前と本音、キリスト教の2面性をバルジャンとジャベールに付与したんじゃないかと思います。
【理】
旧約聖書と新約聖書の流れがそのままレミゼなのではと思いますね。
【村】
ジャベールは星の運行に代表されるような理性の人間。でもその中でのあのダークさは何なんでしょう。
【理】
ジャベールはコンプレックスの塊だと思います。
牢獄生まれで、19世紀のフランスは身分で運命決まってしまう。
もともとアウトローで生まれたんだけど、厳格で真っ直ぐな性分から、どうにかして中に入りたいという思いが強かった。
自分の体に流れる血、両親への憎悪があったと思います。
人って愛がないと生きていけないと思うけど、それがない彼がすがったのが法と正義だった。
そうして生きていくしかなかったのはしょうがないし、だからどす黒いですよね。
彼もレ・ミゼラブルのひとりだと思います。
【村】ジャベールはジプシーの親をもち獄中で生まれて、差別・排除されてきた。
本来は社会体制を批判する側になるはずなのに、ジャベールは体制側にならないと仲間になれなかったんですね。
【理】
想像なんですけど。
彼は社会のアウトローの人達と交流できなかったんじゃないでしょうか。
ストリートチルドレンで、悪いことをしなきゃ生きられないけどそれができないし、
そこでも迫害されていたのでは。大きな声で言えないけど体も買われてたのかも。
だからそういうものへの嫌悪感があった。
愛することも愛されることもわからないし、悪いものを根絶やしにする性格とハマったんじゃないかと。
話していいですか(一同笑)。
たぶん彼は教会で保護されたのかなぁと。
で、心を閉ざしてたけど、ある日ミサで旧約聖書の一節を聞くんです。
「私は怒りに満ちた懲罰をもって復讐する。私が彼らに復讐する時彼らは私を主と知る。」
(的な)(スラスラ暗唱)(エゼキエル書?)
そこにひっかかって、自分の血に復讐しようとなったんじゃないかと。
悪人の血を持ってる、だから悪人を自分が罰するんだ、と。
で、祭壇に掲げられたぶどう酒を「これが契約の血です」ってグッと飲んだんです(一同笑)。
【村】
上原版サブストーリー。
【理】
頭の片隅にひっそり置いといてください。
【村】
そういった妄想っちゃ妄想なんだけど、
【理】
妄想!ヤダ~(一同笑)
【村】
それを誘うようなのが旧約聖書ですよね。
ジャベールが自分の正当性を作っていく、という。
【理】
ジャベールを表す言葉は「同族嫌悪」だと思います。
彼にとって人間らしさとは「非難されようがないこと」。
だから法を遵守し、なおさら厳しく心がけたんじゃないかと。
【村】
人に対して強く出る人は自分が弱い人ってことありますよね。
そういった異形の人間の権化がジャベールなのかな。
【理】
もしかしたらアンチテーゼなのかもしれないですね。
正しいことが全てじゃない、グレーゾーンがあるっていうことの。
ジャン・バルジャンと表裏一体だと思います。
【村】
バリケード陥落後、ガブローシュの死体に向かって絶対言わなかったセリフを言うじゃないですか。
それについては?
【理】
話していいですか?(一同笑)
彼はそこでヒビが入ったんですよ。
(バリケードから逃がされたあと)僕は袖でずっと見てます。ガブローシュが弾拾ってて、ほんとに芝居してるんです。
彼らも役者ですね。で、それを手下が狙ってるんです。
【村】
それも芝居してるの?
【理】
あ、僕が勝手に脳内で(一同笑)。
で、「警部、反逆の根ははやくつぶさないとダメっすよねぇ!」でバンって撃つ。
彼らは法の上では正しいことしてるんです。テロリスト鎮圧っていうのは。
でもジャベールは浮浪児に昔の自分を重ね合わせている。
だから部下がガブローシュを撃って「やったぜ!」って喜んでるのに、そこで喜べないんです。
崩壊するバリケード。負けるとわかってて戦う学生。
その姿を「美しい」とすら感じちゃうんですよね。
でもそれを認めたら今までの自分を否定することになるし、それはできない。
その答えに決着するためにはバルジャンをぶち込まないと俺は俺でいられない。
で、探しに来たけどいない。ぱっとみたらそこにガブローシュの死体が。
きっと、1人の戦士、誇り高い男を称えるような思いなんだと思います。
演出家からは十字を切ってほしいとのことでした。
でも日本人だからちょっとそこまでいかなくて。膝をつくだけでもいいのかなぁと。
あの瞬間に「運んでやれ」って言います。「運べ」ではなく。
で、思わず訳分からなくて叫んじゃって、そこから下水道の出口。心が割れてひび割れちゃうんです。
【村】
バルジャン3人それぞれの印象は?
【理】
とりあえず光夫さんとやると疲れます(一同笑)。
回数は少ないけど、とにかく馬力がすごい。生まれ持った馬力が違う(一同笑)。
対決のシーンで鎖がスポーンと手から抜けて全部光夫さんのほうに行っちゃった。
2人で「どうする?!」「どうする??」って(一同笑)
なんとかなったけど、2人してごめん!って。
そんなことがあったから翌日のシュガーくんがほんと楽で(一同笑)。
シュガーくんとは歳も近いし、2人で新たなレ・ミゼラブルを作っていきたいなぁと。
対等な感じがします。
今回からのバルジャンで、大変だったと思いますよ。ほんとおっきい役だから。
慈愛の精神というか、本人の人柄が出ている感じで、すごく優しくて逆に諭されます。
菩薩みたいです(一同笑)。
【村】
宗教違うね(笑)
【理】
福井さんはバルジャンだけをずっとやってるので、その方と対峙できるのは光栄だし、ビシビシきます。
優しさだけじゃなく強さもある。光夫さんは強すぎるんですけど(一同笑)。
光夫さんは強すぎる上での優しさで、福井さんは両方内在している。
徒刑囚時代の強さと、元々持つ優しさと、一緒にある。そんな印象です。
【村】
福井さんはスタイリッシュだから上原さんと組むといい意味でオペラみたいだと感じます。品格があって。
濱めぐさんのファンテーヌも、あ、濱めぐさんのファンテーヌは見事ですよね。
【理】
(食い気味で力強く)ねええええっ!
良いだろうとは思ってましたけど、びっくり!
【村】
びっくり!
歌じゃない。芝居ですよね。
それは置いといて(一同笑)。
福井さんは輪郭の整った芸。レ・ミゼラブルはそういう品格、エレガントさが必要だと思うんですよ。
福井さんと上原さんが一緒にやるとそれが本当に魅力的。
で、光夫さんとだといい意味で場外乱闘ですよね(一同笑)。
【理】
光夫さんの時だけ対決おわると、ふぅっふぅって(肩で息する)。
前ガン飛ばされたです。幕あく前に。
学生団体でザワザワしていて。だから引き締めるためなのか、下から睨んでるんです。
久々だからよろしくってことかなと思って帽子に手をかけたけど、ずっと睨んでるからたぶん違うなと(一同笑)。
その日、プロローグでバルジャンが蹴られるとこでヴヴヴ!って立ち上がったんですよね。
「え!?立った!!」って(一同笑)。
手下と「どうする!?!?」って(一同笑)。
ほんと何が起こるかわかんないし、本気でやらないと負けちゃいます。
【村】
そこでおしまい、無事脱獄、みたいな(一同笑)。
【村】
アンジョルラスからジャベールになって、新しいカンパニーへの感想は?
【理】
風通りがよくて気持ちいいです。このメンバーで革命したかったな(あああ~って声が上がる)。
ジャベールはぜんぶ後ろから前にぐわーって出てくるし、時代も変わっていて、恐れられてる存在になっている。
だからあんまり関わらない方がいいかなぁと。異質感があるから、稽古中喋らないように。
あ、でも最近喋ってます(一同笑)
【村】
役に入り込んじゃうほうですか?
【理】
そうかも。
化粧前に老けメイクの道具をなんかきっちり並べたくなる。
あ、こういうとこに現れるんかなと(一同笑)。
でもあんま入り込みすぎるとあぶないなぁと。自殺しちゃうから。
リフレッシュリフレッシュと思ってます。
【村】
リフレッシュ方法を教えてください。
【理】
まずカーテンコールで笑うようにしています。
自ら死を選ぶのは疲れるので。
ニコッ!ボク無事です!みたいな(一同笑)。
【村】
妙に子役に親切で(一同笑)。
【理】
子供好きなんですよね。
カテコでたまたま始めたんです、「さぁにげてゆけ!(イケボ)」って。
それをおっかけるっていう小芝居。
あとは昼公演終わって外でて「ああ夕日が綺麗だな」、お酒飲んで「ああ幸せだな」って。
【村】
ジャベールは家族いないんですかね?
【理】
いないと思います。
1人で生きてきたし、持ちたいと思わなかったんじゃないかと。
血を残したいと思わないだろうし、可哀想な人ですよね。泣けてくるな。
だからせめて演じる自分は彼を愛したいなぁと。
【村】
そういうダークな人がスターズのように美しい歌を歌う。何故なんでしょう。
【理】
根本はとても純な人間で、純粋すぎたのかも。
星が規則正しい刑事で、俺と同じだと。
彼は底辺から生まれたから、上を見上げて憧れる存在だったのかなぁと思いますね。
彼は彼の正義を全うしただけっていうのを表してるのかなぁと。
【村】
整ってる中に安息を感じるっていう、人間を超越した美しさなのかもしれないですね。
【理】
スターズを歌うときに、オーディションでも稽古中にも言われたんです。
「あいつが行くのは闇の道だが俺が行くのは神の道だ。これが正しいことなんだ。これこそが正しくて、
ここから外れたものは炎に焼かれるんだ。」という歌詞なので、教会で「これこそが正しいことなんだ」と
宣教する感じでやってほしい、と。
【村】
ジャベールは人間の矛盾を認めないじゃないですか。
でも自分から死を選んでしまう。
【理】
自殺のシーン。ぴきぴきぴきっていう弦の音がたまらんのですよ (一同笑)。
彼の精神の崩壊していく感じ。
整ったとこと不協和音と、精神の揺らぎと、ぞっとする感じで。好きなんです。
音楽がよく考えられてるなぁと。一線をこえちゃった。ざぶーん。
【村】
同じ曲で、バルジャンは改心するじゃないですか。
【理】
バルジャンは同じ曲で改心するけど、ジャベールはそれを受け入れられなかった。
にくい演出ですね。おんなじ曲だよ~。ここでこうくるか!って。
【村】
ミュージカルは同じメロディのリプライズが多いけど、謎なのもありますよね。
カルーセル(学生への追悼の歌)とラブリィレディ(売春婦の歌)とか。
ビリーさんに聞いたらわかりませんねって言われた。
【理】
えーーーっ!!!(声でかい)(一同笑)
【村】
女性の二面性っていうことなのかなぁ。失ったものはそんなに変わらない、と。
【理】
僕は女性って強いなって思います。
売春婦は人類最古の職業と言われてますよね。それまでしても生きるんだっていう。
で、カルーセルでは、「あんだけ思想を掲げてもどうせ変わらない。血で汚れた石畳を掃除するのもあたし達」、
そういうあきらめもあるし、次の命を紡いでいくっていう女性の強さを表している。
そんな意味合いもあるのでは。
ヴェルサイユにパンくれって行進しちゃうし、女性は強いですよね。
ファンテーヌしかりエポニーヌしかり。
【村】
ジャベールはファンテーヌのみ女性キャストでからむじゃないですか。それぞれの感想は?
【理】
うーん。
(悩みながら)もしかしたらジャベールは母親の姿を思い出すかも。
だから触りたくない。自分もそういう経緯で生まれたかもと思うので。
3人ともそう見てる。あんまり違いっていうのは…。
濱めぐさんはずっと顔覆ってる。知念さんと二宮さんは懇願してすがってくる。
その違いはあるかも。
【村】
ジャベールにとってはひとりの囚人候補、と。
【理】
自分はあんまり思い入れ持つとだめだなぁと。
同情しちゃう。人情警部になっちゃう。カツ丼食うか?って(一同笑)。
だから意識的にオフにしてるかも。
【村】
そこってジャベールにとっても鬼門かもしれないですね。
【村】
上原さんは初役感がいい意味でないですよね。
【理】
ほんと新キャスト扱いされないんです(一同笑)。
オケ合わせでも全部通しでやるのが1回だけで、新キャスト優先で、「新キャストさんの伊礼さん」って。
え、ちょと待てちょと待てって(一同笑)。
終わったあとに「ソロ曲やります」ってなって「あ、良かった!なにやるんかな、やっぱスターズやりたいな」って
思ってたら「じゃ、上原くん、自殺でお願いします!」「えっっ!!」って(一同笑)。
今日イチで歌うの自殺!?キッツーって(一同笑)
だからプレ初日めっちゃこわかった!!
なんか知ってるでしょ?みたいな反応で。知ってるけどさ!(一同笑)
【村】
今回ほんとに売れてて、作品の人気が持続しているなぁと。お客さんの違いはあります?
【理】
乃木坂のいくちゃんとか三浦くん、彼大人気らしいんだけど、あと斎藤さん、めぐさん、
今まで見に来てないお客さんも多いのかなぁと。それは良いことですよね。
見たことない人に見てもらうっていうのは。
【村】
朴璐美さんもうまいですよね。びっくりしちゃった。
【理】
朴璐美さんは映画よく見るから名前知ってて。
え、あのぱくさん!?って。
稽古見ててミュージカル初の感じしないんですよね。苦手って仰ってたのに。
だからいやいやすごいっすね全然違和感無いっすねって話しかけたらなぜか…(ここは伏せます)(一同大爆笑)。
【村】
これは拡散禁止です(笑)
【理】
「何言ってんのもう!」って言いながら…(伏せます)。
「なぜ。」って(一同笑)
【村】
今後のジャベールの役作りについて教えてください。
【理】
どうでしょうか(悩む)。
そういうビジョンは見えてないです。
今のまま、1回1回を。このまま突き進んでいきたいです。
日に日に変わってるので、どういう方向かわからないけど楽しみです。
このまま丁寧に1回1回誠心誠意。アンチテーゼの役をちゃんと届けられるように。
【村】
アンジョルラスは年齢的にだんだん遠ざかってるけど、ジャベールはだんだん近づいてる。
52歳まではあんまりやれないですけど。
【理】
川口さんがプレビュー初日に52歳で、リアルジャベールだったんですよね!
その日の夜にノートルダムが焼けた。
だから運命だなぁって。悪魔の仕業か神の御業か業火に焼かれてしまいました。
【村】
上原さんはジャベールをやっていって、丸くなっていくっていうことはなさそうですけど。
【理】
どういう風にやれるのか、楽しみです。
アンジョルラスは4回やって、知り尽くしてるから舞台上で自由に生きられたんです。
別人の快感というか。その感覚を知っちゃってるから、はやくジャベールもそうなりたいです。
そのためには場数を踏まないと。そこを目指したいです。その時に何が見えるのか知りたいです。
【村】
将来はバルジャン?
【理】
頑張ります。
(ジャベールを)やればやるほど思うんです。
光から闇に落ちたジャベールと闇から光にいったバルジャン。2人やったら面白いだろうな。
初演で鹿賀さん滝野さんがどっちもやってたのはそういうことだなって。
光夫さん路線、ですね。
【村】
(バルジャンとジャベールは)声質も音域も解釈も違うじゃないですか。
【理】
ジャベールは声種がザ・バリトンなんですよね。だから歌いやすい。
バルジャンは低くもあり高くもありで、声質も渋いまま高い方にいったり。すごい役だなと。
でもミュージカルはそういうの多いと思います。
ジャベールが珍しいんですよね。バリトンの域にずっと収まってるんで。
声種関係なく深めないと。
【村】
PA(マイク)使うからだよね。オペラの歌手はミュージカル歌えないかも。
【理】
シュガーくんが苦戦してるんです。
どうやったら出せるか試行錯誤していて。
(発声(?)の)「アア~ッ」って声がIKKOさんに似てるよねってなって、
アンサンブルの鎌田くんと「ちょっとそのままどんだけ~って言って」って頼んだんです。
(ここで挟まれるシュガーさんがIKKOのものまねをしてるとこのものまね)(一同大爆笑)。
ごめんねシュガーくん。
でもほんとバルジャンって大きい役で、すごいドラマで、難しいなぁと。
【村】
ぜひ近い将来その難しい役を。
そろそろ楽しい時間も終わりですが、そこになんか楽器が。
歌って頂きましょう。
帝劇では考えられないマイク無しで。みなさんだけの機会ですよ(一同拍手)。
♪スターズ♪
(表情からすっと役に入る理生さん)(すごかった…!)(響かない場所なのに響く)
(一時間以上話してていきなりこの歌声って…!!)
(一同大拍手)
【理】
信者に説法してるみたい(一同笑)。新興宗教みたいですね。
【村】
生声マイク無しでこういうとこで歌ってもらうのは本当にレアです。
【理】
朝日カルチャーならではの大特典。自分で言うのもなんだけど(一同笑)。
【村】
せっかくなのでアンコールも(一同ふぉおおおお!)。
Bring Him Homeを歌って頂きましょう。
【理】
日本語でやるのは恐れ多いので英語で(一同拍手)。
♪Bring Him Home♪
(一転透明感満載な感じに)(座ってるのにめっちゃ響いてる)(クレシェンドのかけ方めっっっちゃ好き)
(ピアニッシモの美しさ…!)
(一同大拍手)
【村】
この曲はPAで声を拡大して歌っていく曲で、生声で帝劇でやったら1日で歌手人生おわっちゃう。
こういうとこだからできるし、コンサートとかで生声でこの曲歌ったことは今までないと思います。
【理】
そうなんですか??
【村】
わかんない(一同笑)。
この曲はお腹で支えないと絶対歌えないし、ボロが出やすいんです。
声楽はメンテナンス必要だけど、今もレッスン行ってるんです?
【理】
今日行ってきました(一同おお~)。
【村】
それをやらないと、クラシックの歌手は難しい。
基礎的な訓練が必須ですよね。
【理】
バレエダンサーとかピアニストとかアスリートと同じかな。
【村】
ぜひ訓練を怠らずに近い将来のバルジャンに備えてください。
最後に上原理生先生からメッセージを。
【理】
え、僕から?うーん……なんも考えてこなかった…そうですね~(めっちゃ悩む)。
レミゼに来て頂いて、客席が満員でありがたい光景です。
我々も新しくなりこれからも進化していきます。
少しでも見てくださってる皆さんの活力、勇気になったり、背中を押せたら幸せです。
何か感じていただけたらと思いますし、大いに泣いてデトックスをして下さい。
また劇場でお会いしましょう。
(一同大拍手)
(メモ取り忘れちゃったけどもうちょろちょろ話してコンサートとかの宣伝タイムで終了)
こんな感じで、みっちり濃厚盛りだくさんな1時間半でした。
10,000字くらいになってしまってじぶんでもびっくり。
メモが汚すぎて萎えそうになりつつも、読み返していたら講座の様子が蘇ってきて、書いていて楽しかったです。
宗教の話とかアカデミックな部分も面白かったし、理生さん自身がどういうジャベール像を構築していて
どういう意図で演じているか、その深い部分を聞けたのが本当に興味深くて貴重な機会だなぁと。
他のキャストさんについてのお話からはカンパニーの雰囲気の良さと信頼感を感じることができてほっこりしました。
ますます次回レミゼ観劇がたのしみになりましたよ!
もちろんあまり知識がなくとも見て楽しめるし考えさせられるお話だと思うんだけど、
こうして出演者の人がどう感じてどう演じているかを聞けると、より一層見方も深まる気がします。
「講座以前」の私と「講座以後」の私はきっと感じることがまた違うんだろうなぁ。
帝劇公演の終わりが見えてきて、でもまだまだ地方公演がたくさん残ってる今、この講座を聞けて本当によかったです。
あのスターズとBHH、どこかに音源残ってないかな…(ボソッ)。
以上!